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治療法について

乾癬は、残念ながら根治的な治療法はまだ見つかっていません。しかし、治療によって皮疹や関節炎などの症状を抑え込み、場合によってはほとんど症状のない状態まで回復させることが不可能ではない時代になっています。現在の治療法は、塗り薬・飲み薬・光線療法・注射療法の4種類が主体となっていますが、特殊療法として顆粒球単球吸着除去療法もあります。医師は症状以外にも、生活の質(QOL)の障害度、合併症、生活環境などのさまざまな情報をもとに治療法を選択します。
症状は体調や環境の変化などにより変わることがあるため、その時々で自分に適した治療法を選ぶことが大切です。それでは、それぞれの治療法(図参照)について詳しく見ていきましょう。
外用療法(塗り薬)
乾癬治療の基本となるのが、皮膚の症状に直接塗ることにより効果を発揮する、外用治療(塗り薬)です。主に使う薬剤は、ステロイドと活性型ビタミンD3。炎症を抑えるステロイドには即効性があり、痒みにも効果がありますが、皮膚委縮などの副作用もあるため長期連用には向きません。 表皮細胞の増殖を抑制する活性型ビタミンD3は、即効性はありませんが、副作用がなく、いったんよくなると再発までの期間が長いという特長がある外用薬です。また、活性型ビタミンD3は、治ったところに塗っておくと新しい乾癬の皮疹が出にくいという臨床結果があり、ブレーキ役を高める効果も認められています。 ステロイドと活性型ビタミンD3は、それぞれ長所・短所があり、よく「うさぎと亀」(うさぎ:効き始めが早いが効果切れも早い/亀:効き始めが遅いが効果が持続しやすい)にたとえられますが、今では2つの薬剤の配合剤も使えるようになり、より高い効果が認められています。なお、外用薬には製剤の形として、軟膏やクリーム、ローションなどの種類があり、使用する部位や症状に合わせたものを選ぶことができます。
光線療法(紫外線照射)
紫外線を皮膚や発疹に直接照射して症状の改善を促す治療法です。光線療法には色々な種類がありますが、2008年からはナローバンドUVB(中波長紫外線)という限られた波長の紫外線が主流となり、現在ではこれが光線療法の中心になっています。照射装置としては、全身型、かまぼこ型、フライパン型、手足型などのタイプがあり、また、狭い範囲を集中的に治療できるターゲット型照射装置も普及しており、治りにくい肘・膝や爪の乾癬に効果を上げています。 光線療法の効果には個人差がありますが、乾癬の進行のアクセルを抑える効果とブレーキを高める効果の両方が認められており、よく効く人の場合、一度きれいになると、それ以降は照射しなくても、1年以上乾癬の皮疹が出てこないこともあります。
内服療法(飲み薬)
乾癬の発疹が中等症から重症になった場合は、内服薬(飲み薬)が用いられます。主な内服薬は次の3種類。これらは、外用療法や光線療法と併用される場合もあります。
エトレチナート
ビタミンA誘導体(レチノイド)で、皮膚細胞の異常増殖を抑える働きがあります。高い効果が期待できますが、皮膚や粘膜に副作用を起こすことがあります。また、妊娠中に服用すると胎児に奇形が起こる危険性があり、内服中止後も女性は2年、男性は半年の避妊が必要です。
シクロスポリン
免疫を抑制する作用があります。高い効果が期待できますが、血圧の上昇や腎臓の障害といった副作用に注意しなければなりません。服用中は定期的な検査が必要です。
メトトレキサート
抗がん剤または抗リウマチ薬として使用される薬です。関節リウマチ類縁疾患としての、関節症性乾癬の治療に用いられることがあります。また、生物学的製剤の効果を長期に維持する役割があることも特長です。たとえば、インフリキシマブを投与した際、体の中で薬に対する中和抗体産生が起こると時間経過とともに効果が減弱することがありますが、メトトレキサートはこの抗体産生を抑制することから、インフリキシマブと併用すると効果が長期に維持されやすいといわれています。ただし、肝臓障害、間質性肺炎、骨髄抑制(白血球数などが低下する現象)といった副作用に注意が必要です。
アプレミラスト
25年ぶりに発売された新しい乾癬の飲み薬です。ホスホジエステラーゼ(PDE4)という酵素が、乾癬の表皮細胞や免疫細胞内で過剰に発現するため、PDE4を阻害することで、TNFαやIL-17、IL-23などの炎症性サイトカインの産生亢進を抑制し、炎症反応を抑えるものです。効き方には個人差がありますが、人によっては、飲み始めてから24週とゆっくり効いてくる患者もいます。 下痢・吐き気・頭痛・めまいなどの副作用がありますが、対策を打ちながらスターターキットから始めるうちに、徐々に体が慣れてきます。また、これから妊娠を希望される女性への投与は催奇形性の可能性がありますので禁忌となります。
生物学的製剤(注射)
生物学的製剤は、遺伝子組み換え技術を使って人工的に作られたタンパク質製剤です。免疫担当細胞などから分泌され、乾癬の発症・維持に関わる特定の分子を標的とするため、肝障害や腎障害は起こりにくい一方、免疫を抑える作用があるため、感染症に気をつけながら使っていく必要があります。 2010年以降いくつかの製剤が使えるようになり、尋常性乾癬、関節症性乾癬(乾癬性関節炎)、乾癬性紅皮症、膿疱性乾癬に劇的な効果を上げています。いずれも注射薬ですが、投与間隔は薬剤によって異なります。なお、生物学的製剤は高価な薬剤のため、高額療養費制度が利用できる場合もあります。
その他 顆粒球単球吸着除去療法
顆粒球単球吸着除去療法とは、血液の一部を取り出し、白血球の中の、炎症の原因と考えられる顆粒球・単球を選択的に除去する治療法です。静脈に針を刺し、特殊なビーズの入った装置で血液をろ過し、炎症の原因となるものを取り除いた後に、再び体内に戻します。副作用の面で安全性が高いのですが、1回の治療でおよそ1時間かかり、週1回、計5回行います。現在は膿疱性乾癬と関節症性乾癬(乾癬性関節炎)のみの適用となります。