



素晴らしい先生、患者仲間との出会いが私の人生を変えた(40代男性:Sさん)

私が乾癬を発病したのは中学生の頃でした。最初は小さい皮疹が少しあるだけでしたので、乾癬という病気をあまり気にしていなかったのですが、20歳を過ぎたころから急激に全身に広がりはじめ、合わせて全身の関節がとても痛くなるようなひどい状態となりました。
当時、病院にも通っていたのですが、なかなか思ったように回復せず、思い余って何の根拠もない聞いたことのないような植物のエキスの入った、いわゆる「健康食品」に手を出してしまったこともあります。しかし、多額のお金を使っただけで、乾癬は全く回復しませんでした。それどころか、その後は更に悪化の一途を辿り、沢山の苦労もむなしく、残念ながら乾癬の中では最も症状が重く、国の指定する難病扱いにもなっている、「汎発性膿疱性乾癬」に「関節症性乾癬」も合併した形のとても辛い状態となり、やむを得ず何度かの入院も経験し長い闘病生活を余儀なくされてしまいました。
しかし、そのように思い悩んでいたある日、ひとりの良い医師と出会いました。良い先生というのは、私の乾癬を“魔法のように治してくれる先生”という意味ではなく、私にはどんな治療を施したら良いか、私に合う治療をさぐり、ともに悩み、一緒に考えてくれる先生、そして、患者として必要な乾癬や治療に対する“正しい知識”を持つことを教えてくれた先生ということです。
そんな素晴らしい先生との出会いが私の意識を大きく変えました。先生と出会ってからも、乾癬はすぐには回復しませんでしたが、それでも少しずつ自分に合った治療を行なう事ができ、時間はかかりましたが、その後に何度か乾癬が体にない、「完全寛解」と呼ばれる状態を経験しました。その時には、もう海でもプールでも温泉でも、どこへでも行って人前で肌を晒せる喜びを噛みしめていました。
今現在も、私の体にはほとんど乾癬の皮疹がありません。私が乾癬の治療に一番苦労していた時代と比べて、今は飛躍的に治療が進み、“治療の選択肢”も沢山増えました。その中で私は生物学的製剤の治療を施し、この5年くらいの間は体のほとんどどこにも乾癬のない状態を維持しています。
また、患者会に入会したことで、自分と同じ乾癬を長年患い同じような苦労をされてきた自分以外の患者さんと出会う事ができ、時々合って情報交換したり、食事して楽しんだりと、病気の事は何でも話せる何とも言えない素敵な仲間ができました。単に同じ“乾癬”を患い苦労してきたというだけなのに、何とも言えない親近感を覚えるのは本当に不思議に思います。
現在も乾癬は「治らない病気」と言われていますが、それでも私のように、患者自身が「乾癬が治ったのと同じような状態」で暮らすことを期待できる時代になったように思います。今もなお悩んでいる沢山の方々に笑顔が戻る日が来ることを祈っております。
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はじめまして。
今度5月20日に乾癬フォーラム東京があるというのを知り、HPをみつけました。
息子が20歳で乾癬を発症し、現在26歳。数年はステロイドのぬり薬などで対処しておりましたが、治らないしステロイドがよくないということで、現在は野菜中心の生活をしております。(現在も一人暮らし)自分で治すんだとがんばっておりますが、6キロ痩せましたし、逆に頭がまわらなくて精神的におかしくならないか心配しております。
完治寛解をされたと載っておりますし、どういったことをしていったのかお教えいただきたく思います。
尾原さま
息子さんの乾癬についてご心配される胸中をお察しいたします。
投稿者のSです。
乾癬は残念ながら未だ医学的には治せない病とされていますが、一方では、医学の目覚ましい進歩により、かつての私のように長期入院をする患者さんは今はほとんどおらず、完治とは言えないまでも、病気の素因はあっても、治療さえ継続していれば、普通に日常生活を送りながら、ほとんど体に乾癬のない状態を維持することも夢ではない時代となりました。
乾癬治療に対する考え方は人それぞれ異なり、価値観も異なり、更に個体差もあるので、一概に「これが良い」と言い切ることはできませんが、私が思うには「正しい知識を持って正しい治療を行なう」ことではないかと思います。巷には胡散臭い怪しい情報も蔓延っていますが、惑わされることなく正しい知識をまずは持つことだと思っています。そして、乾癬という専門性の高い病気はやはりそれに詳しい医師に診てもらう事が一番だと考えます。いろんな環境があり地域的な医療格差などがあるのも現状ですが、できることであれば、乾癬に詳しい医師に見て戴く事が大切だと思っています。
具体的な治療についても、乾癬に詳しい先生にご相談されてご自身に合った治療法を先生と一緒に模索していくことが大事だと考えます。私もそのようにしました。私に合う治療が必ず息子さんに合うとも限らないのが乾癬治療の難しいところですが、一昔前の時代よりも乾癬治療薬の選択肢は爆発的に増えておりますので、その中から息子さんに合った治療方法を見つけるのが一番良いと思います。塗り薬も今はステロイドよりむしろビタミンD3剤、又はそれとの混合剤の方が主流かもしれませんし、紫外線療法や飲み薬との合わせ技、また生物学的製剤という注射の薬は多くの患者さんに劇的に効く薬で種類も沢山あります。息子さんのご意志や生活のバックグランドも含めてご検討されてはいかがでしょう。
最後に息子さんが心掛けていらっしゃる野菜中心の生活は決して悪いことではなく、むしろ正しい食生活だと感じております。極端な食生活はマイナスに働く事もあり、バランスの取れた食生活を送ることが大事なようですが、食生活の見直しは乾癬を治せないまでも健康的であり、治療に対する補助的な役割にはなるかもしれません。
息子さんをご心配されるお気持ちはお察しいたしますが、情報提供はされつつ、ぜひ温かく見守って差し上げることがご本人にとっては一番心地が良いのではないかと感じます。
長くなり、また私の勝手な考えを書き申し訳ございません。
息子さんの乾癬の軽快をお祈りしております。
ありがとうございます。
今は再発されていないのでしょうか?また完治させれからどれくらいたっておられますか?質問ばかりですいません。
正直、いろんな情報があるようで無い状態です。たしかに自分に合った方法を探すのが一番なのでしょうけれども、そのなかの一つとしてあなた様の経験を聞きたかっよろしくお願いいたします。
メッセージありがとうございます。
私の乾癬は全身に膿疱を含む乾癬皮疹ができる汎発性膿疱性乾癬というタイプです。
国の指定する難病扱いになっており、日本には2000人弱しかいない重症なタイプで時に高熱が続いたり強い倦怠感に悩まされたりする事もあり、ご参考なるかわかりませんが下記に治療経緯を説明させて戴きます。また乾癬になってから35年とかなり長い時間が流れていますので、いろいろ経験していますが最初の投稿に関連した内容でご説明させて戴きますね。
残念ながら私の乾癬は「完治」したわけではなく、病気であっても症状が出ないか、少ししか症状の出ない状態を治療をしながら維持している「寛解」という状態です。
現在は生物学的製剤を使ってその状態を維持していますが、今年のはじめには7年ぶりくらいにかなり再発しました。しかし主治医の先生と相談し、別の薬剤に切替え、外用剤も別のものに変え、ネオーラルという飲み薬を最初だけ併用する形でまずは皮膚症状を落ち着かせました。その後は生物学的製剤だけに減らし現在はかなり良い状態まで回復しています。
投稿した写真の状態を寛解させたのは随分前の記録でまだ生物学的製剤もなかった頃でしたが、実は仕事を休んで治療に専念し、規則正しい生活と健康的な食生活を維持しつつ、ドボネックスというビタミンD3薬を一日2回朝晩必ず塗布し、およそ3か月でほとんど皮疹のない綺麗な体に戻しました。夜はお風呂から上がってまだ肌が乾燥する前に必ず塗布しました。ストレスのない生活環境にあったことも回復を助けたのではないかとも思います。
ビタミンD3系の軟膏は即効性はありませんが、それで軽快するとステロイドだけとは異なりかなり綺麗な肌に回復する実感を持っています。
また、この後、社会復帰してから、いわゆる寛解の状態を維持するために当時の紫外線療法と軟膏塗布を継続していましたが、かなり長い期間は良い状態を維持しました。
その後再発しましたが、それは骨折して手術をしてから急激に乾癬が再発悪化しました。ケガや手術と乾癬悪化の因果関係ははっきりしませんが、ただ、その後はネオーラルとビタミンD3系軟膏を併用し再び良い状態に回復しましたが、それから数年後に生物学的製剤が発売されることになり、以後は生物学的製剤を使用しています。
私の治療の流れは以上です。
乾癬はなかなか回復させにくく大変ですが、軟膏塗布だけでもしっかり治療すると、ある程度は回復できると思いますが、忙しい日常生活を送りながら毎日朝晩2回必ず塗布し規則正しい生活を送るのは現実的には中々難しいのが悩ましいところだと感じています。
あまりご参考にならないかもしれませんが、息子さんの乾癬が軽快するようお祈り申し上げます。